難病を経験して、はじめてわかったことがある。
「人生はリセットできる」ということだ。
心臓が止まりかけた日
あの日、俺は死にかけた。
巨細胞性心筋炎。
聞いたことがない病気だった。
俺もそうだった。
心臓の機能は通常の5分の1。
4ヶ月、病院から出られなかった。
退院してはじめて気づいたこと
退院の日、兄の車の窓を全開にした。
初夏の風が入ってきた。
「気持ちいい」
それだけで、十分だった。
病気になる前は、こんな感覚、なかった。
風を感じて、泣きそうになるなんて。
当たり前の日常が、最高の贅沢だった。
怖かった。本当に怖かった。
家に帰って、すぐ検索した。
「巨細胞性心筋炎」
最初に出てきた言葉。
『1年以内の再発率50%』
『致死率が高い』
愕然とした。
でも思った通りだった。
スーパーでも、息子と散歩中でも、
ずっと自分の心臓を監視していた。
家族の前では笑っていた。
心の中では、泣いていた。
転機になった一冊
普段、本なんて読まない。
でも、藁にもすがる思いで手に取った。
中村天風さんの言葉に、救われた。
「病になっても、心まで病ますまい!」
そうだ。
心臓のことは医者に任せればいい。
俺がやることは、明るく生きることだ。
そして、第2の人生が動き出した
その日から、変わった。
息子をベビーカーに乗せて散歩した。
妻とスーパーに行った。
少しずつ、自分のペースで動いた。
秋には職場復帰。
「あーきさん、おかえり」という横断幕。
千羽鶴を折ってくれた仲間がいた。
人前なのに、涙が出た。
情けない。でも、嬉しかった。
難病は、最悪じゃなかった
病気になって、失ったものは多い。
でも、得たものもある。
「今日生きている」という感覚。
本当に大切なものが、わかったこと。
弱い自分を、認められたこと。
難病は人生を終わらせなかった。
むしろ、第2の人生のスタートボタンだった。
今、同じ状況にいるあなたへ
身動きが取れない人がいるなら。
先が見えなくて怖い人がいるなら。
どうか足掻いてみてください。
ちょっとでいい。
できる範囲でいい。
俺がそうだったから、言える。
きっと、いい方向に歩いていける。
あーき

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